試験前は毎日2時間以上勉強していたのに、試験が終わると「少し休もう」と思ったまま数日が過ぎ、気づけば机に向かう習慣がすっかり消えてしまう。
そんな経験をした人は少なくないでしょう。
人は努力を続けるよりも、「楽な状態」に戻ることのほうがはるかに早い生き物です。
資格試験の勉強は、仕事や家事と両立しながら行う人が多く、集中するためには強い意志が必要です。
ですが、脳は本来「エネルギーを節約するようにできている」ため、勉強という負荷の高い行動をできるだけ避けようとします。
スマホを見たり、テレビをつけたりする方がずっと手軽で、脳にとっては「快適」だからです。
つまり、一度勉強を中断すると、脳はすぐに「楽な方」を標準状態に書き換えてしまいます。
せっかく身につけた学習習慣が、ほんの数日で崩れてしまうのはこのためです。
努力には時間がかかるのに、怠けることにはすぐ慣れてしまう。
これは意志が弱いからではなく、誰にでも起こる自然な現象なのです。
では、どうすれば「楽な方に慣れる速さ」に負けずに、勉強の習慣を維持できるのでしょうか。
ポイントは、「完全に止めないこと」です。試験が終わっても、たとえ10分でも机に向かい、ノートを見返したり、関連ニュースを読んだりして“学びの火”を絶やさないようにすることが大切です。
勉強を「再開する」のではなく、「細く続けておく」ことで、再び本格的に勉強する時の立ち上がりが格段に楽になります。
また、「勉強=苦行」という考え方を少し変えてみることも効果的です。
勉強を、自分の成長を実感する時間として捉えるのです。
新しい知識を得た瞬間や、以前理解できなかった問題が解けたときの達成感は、どんな娯楽にも勝る充実感を与えてくれます。
その「成長の実感」を積み重ねることで、学ぶこと自体が“楽しい”と感じられるようになります。
さらに、環境を整えることも忘れてはいけません。
机の上を片づけておく、勉強時間をアプリや手帳で記録する、SNSやオンラインコミュニティで進捗を共有するなど、学習を再開しやすい仕組みを作っておくと効果的です。
人間の意志は弱くても、環境の力を借りれば行動は続けられます。
試験勉強は、結果よりも「続ける力」を育てる過程でもあります。
一度休んだからといって、今までの努力が無駄になるわけではありません。
むしろ、その経験を通して自分のリズムを知り、どうすればまた勉強に戻れるかを理解することが、次への大きなステップになります。
人は誰しも、楽な方に流れてしまうものです。
しかし、それに気づき、再び机に向かうことができるのは、真剣に学びに向き合った証拠です。
休んでしまうことを恐れず、また少しずつ積み重ねていけば、必ず次の目標に近づいていけるはずです。

