リスキリングは一般に「学び直し」と訳されることが多く、その言葉から学校や大学に通い、授業を受ける姿を思い浮かべる人も少なくありません。
しかし、リスキリングの本質は「どこで学ぶか」よりも、「何のために、どのような能力を身につけるか」にあります。
その意味で、資格取得もリスキリングに含まれるのか、という問いはとても重要です。
結論から言えば、資格取得は十分にリスキリングと言えます。
ただし、すべての資格取得が自動的にリスキリングになるわけではありません。
リスキリングとは、社会や産業構造の変化、技術革新に対応するために、新たなスキルや知識を獲得し、仕事や役割の転換、価値の向上につなげる取り組みを指します。
したがって、資格取得がこの目的に合致していれば、それは立派なリスキリングです。
例えば、IT化が進む中で、事務職の人がデータ分析やプログラミングに関する資格を取得する場合、これは業務の高度化や職域拡大につながる可能性があります。
また、製造業で働く人が品質管理や安全管理の資格を取得し、現場改善やマネジメントに関わる役割を担うようになるケースも、リスキリングの典型例でしょう。
一方で、現在の仕事や将来のキャリアと結びつかない、単なる知識の整理や趣味的な資格取得は、学習としての価値はあっても、リスキリングとは少し異なります。
学校や大学での学びは、体系的で理論的な知識を得られる点が強みです。
しかし、社会人のリスキリングにおいては、必ずしも長期間通学することが最適解とは限りません。
資格取得は、学ぶ範囲や到達目標が明確で、成果が「見える化」されやすいという特徴があります。
企業側から見ても、一定の知識やスキルを客観的に判断しやすいため、人材育成や配置転換の判断材料になりやすいのです。
重要なのは、「資格を取ること」自体をゴールにしないことです。
資格はあくまで手段であり、取得した知識やスキルをどのように実務に活かすか、どんな役割を担いたいのかを考えることが欠かせません。
リスキリングとは、学びを通じて自分の働き方や価値を更新していくプロセスそのものだからです。
リスキリングは必ずしも教室の中で行われるものではありません。
オンライン講座、実務経験、そして資格取得も含め、多様な学びの形があります。
資格取得も、その目的と活用の方向性次第で、立派なリスキリングとなるのです。

