「答えのない問い」に向き合う力を育てる探究学習 2026.8.1

先日、市内の高校で探究学習の授業を担当する機会をいただきました。

テーマは「もし君が社長だったら?~高校生のためのアントレプレナー講座~」です。

創業時に実際に使われる創業計画書をもとに、生徒の皆さんが自ら事業を考え、グループで意見を出し合い、発表する内容でした。

授業を終えて改めて感じたのは、探究学習とは「正解を教わる学習」ではなく、「答えのない問いに向き合う学習」であるということです。

これまでの学校教育では、知識を身に付け、正しい答えを導き出すことが重視されてきました。

もちろん、その力は社会に出ても必要です。

しかし、人口減少や人手不足、AIの急速な進歩など、現代社会には教科書に答えが載っていない課題が数多くあります。

そのような時代だからこそ、「何が正解か」を探す力だけではなく、「自分なりの答えを考え、形にしていく力」がこれまで以上に求められているのではないでしょうか。

今回の授業でも、同じテーマで考えているにもかかわらず、一つとして同じ事業計画はありませんでした。

それぞれの興味や経験、価値観が反映され、高校生ならではの柔軟で独創的なアイデアが数多く生まれました。

正解がないからこそ、自分の考えを言葉にし、仲間と議論しながら磨き上げていく。

その過程こそが、探究学習の本当の価値だと感じました。

一方で、「答えのない問い」に向き合うのは、生徒だけではありません。

授業をつくる側も同じです。

どのような問いを投げかければ考えが深まるのか、どのような進め方なら主体的に参加してもらえるのか。

私自身も授業の準備を進める中で何度も試行錯誤を重ねました。

振り返ってみると、その準備の時間そのものが私にとっての探究学習であり、多くの学びにつながっていたように思います。

AIが急速に普及している現在、知識を調べるだけであれば短時間で答えを得られる時代になりました。

しかし、「どのような問いを立てるのか」「その答えをどのように社会で生かすのか」は、人が考え続けるべき領域です。

だからこそ、これからの教育では知識を覚えることだけでなく、自ら問いを立て、考え、対話し、行動へつなげる力がますます重要になっていくでしょう。

探究学習は、高校生だけのものではありません。

社会人になってからも、仕事や地域活動、日々の生活の中で「答えのない問い」に向き合う場面は数多くあります。

私自身も学び続ける一人として、これからも問いを持ち続け、自分なりの答えを探しながら成長していきたいと思います。

そして、その姿勢が次の世代にも伝わり、「考えること」を楽しめる人が一人でも増えていくことを願っています。