仕事で補助金申請の支援をすることが多くあります。
その補助金は、事業者の販路開拓を支援し、集客や売上を上げるために使う補助金です。
設備投資や広告宣伝などに使えます。
補助金額の上限額は、50万円から100万円と補助金としては大きくはないため、比較的手軽に挑戦できる補助金でもあります。
そのため、
「機械を導入したいけれど補助金もらえるんだって?」
とか、
「ホームページ作りたいから、補助金申請できますか?」
といった感じから話がスタートします。
補助金は申請をすればもらえるのではなく、審査員の審査を経て、採択されなければなりません。
なので、事業概況から始まり、市場動向、自社の強み、経営目標、補助金を使ってどう売上を上げるかなどを文章にしなければなりません。
普段から文章を書いたり、補助金申請をしている人なら良いのですが、ほとんどの方が補助金申請なんて初めての人が多いです。
そのため、分厚い公募要領の内容説明から始まり、事業概況などの書き方から細かく説明します。
それで、全て文章を書き上げてもらえれば一番良いことですが、箇条書きのものを文章化していく作業になります。
パソコンに不馴れな人の場合は、パソコン入力を代行しなければなりません。
今までの経験からも、このような形での支援が多いため、遅くとも申請締切日の1ヵ月ほどの前からスタートするようにしていました。
お互いにそれだけが仕事でないため、自ずとそのくらい時間がかかるのです。
私はそういうやり方のもと進めてきましが、最近それを覆す申請者がいました。
それは、申請締切日の4日前のこと。
1ヵ月ほどのかけて申請書を一緒に作り上げた方の分を送付し、今回はこれで終わりかなと思ったそのときに、その相談者が現れました。
「販路開拓の補助金があるって聞いたので相談にきました」
とのこと。
内容を説明しながら、
「今度は4ヵ月後に募集があるのでそれに向けて準備をしましょう」
と説明したところ、
「今週末の締切りに申請したいのですが」
と言うのです。
先にも書いた通り、1ヵ月かけて準備を進めるのにそれは無理ではないかと思い、
「文章は箇条書きとかではダメですし、今からですと全て自分でパソコン入力しなくては期限的に厳しいです」
と言いました。
それでもやるということでしたので、
「発送時の確認だけは一緒にやります」
との話でその日は終わりました。
偶然ですが、そのような人が2人も同じ日に相談に来たのです。
私としてはちょっと厳しいのかなとの思いでしたが、1人は翌日、もう1人は翌々日に作って持ってこられました。
内容も説明した通りしっかり書き込まれており、直ぐに持ってきてくれたため、添削することもできたのです。
当初は、
「4ヵ月後の申請でなければ絶対無理」
と私は思っていたのですが、良い意味で裏切られました。
結果はまだわかりませんが、お互いに納得のいく申請書ができたのではないかと思います。
この補助金申請の支援は、かれこれ6年くらいやっていますが、こんなにギリギリの申請は始めてでした。
過去の経験から、
「4日間で申請など到底無理」
との私の
「思い込み」
があったのだと痛感しました。
また、
「ほとんどの人が補助金申請は不馴れ」
との思いもありました。
今回は良い結果で無事に終わりましたが、「思い込み」が悪い結果になることもあります。
今までの経験は大切ではありますが、思い込んだ考えのまま物事を進めるのは良くないということを感じる出来事でした。
試験についても言えることですが、
「知っていること」「仕事でやっていること」「経験したこと」
などは、テキストをしっかり確認せずに「思い込み」で試験問題を解いてしまうこともありますので、学びの面でも「思い込み」は注意が必要です。