学校の先生を始めとする、人に教える立場の人は教え方を学びます。
何年もかけて教え方を学びます。
教え方を学ぶのは先生と呼ばれる人達だけと思いがちですが、
「仕事のやり方を教える人」
も教える人であり、教え方を学ぶ必要があるのです。
しかし、実際のところ仕事を教える方法を学んだ人は少ないのではないでしょうか。
私自身も仕事で人材育成セミナーに携わるまでは、学んだことはありませんでした。
その講義の中で、
「ホッチキスの針を入れる仕事を教える」
というものがありました。
ホッチキスの使い方は誰でも知っていることですが、その講義ではホッチキスを知らない異国の人に、ホッチキスの針の入れ方を教えるという設定で、教える側と教えられる側に分かれて学びました。
ホッチキスの部位の名称、針の入れ方、使い方、針を入れる仕事によって職場でホッチキスを必要とする人の役に立てること。
を教える内容です。
ホッチキスの使い方は知っていても、使い方や針の入れ方を順を追って教えるということは、簡単なことではありませんでした。
この講義を通して教えることの難しさを実感しました。
ホッチキスですら難しいのですから、実際の仕事を教えることはさらに難しいことです。
ですので、
「教え方を知らない人は教えられない」
と言っても言い過ぎではないと思います。
その人材育成セミナーの運営に6年近く携わり、毎回同じことを見てきましたが、それでも実際に仕事を教えると言う事の難しさを感じています。
結局、
「自分でやった方が早い」
「過去の資料を調らべさせる」
「やり方を見て真似させる」
「しっかり教えない」
など、教える側が楽な教え方になってしまい、教わる側がなかなか育たないのです。
そして、教える中で一番大切なことは、
「その仕事を通して誰のためになるのか」
を教えることです。
教えてもらっている仕事の先にはどのような人達がいるのか、どのように喜ばれるのか。
この部分までしっかり教えることができれば、完璧な教え方だと思います。
実際、仕事のやり方は教えても、その仕事の先のことまで教えている人は少ないのではないでしょうか。
「人材育成は時間がかかるもの」
と理解し、人員も時間もしっかり確保して取り組まなければならないことなのです。