小学生の子供の漢字の宿題を採点することがありますが、日本語はひらがな、カタカナ、漢字と覚えることが多いです。
漢字も音読みと訓読みがあり、慣れないうちはその読み方を間違えることもあります。
漢字の宿題を見ていると、
「こんなに難しい日本語を普通に使っているのに、英語はアルファベット26文字のからの単語の組み合わせなのに、覚えられないのはなぜか」
と思うことがあります。
それはなぜでしょうか。
多くの日本人は、日々の生活や仕事の中で複雑な日本語を自然に使いこなしています。
新聞記事や法律文、文学作品など、難解な言葉や構文を難なく理解する場面も珍しくありません。
しかし、英語となると「覚えられない」「話せない」と悩む人が多いのはなぜでしょうか。
その理由を探ると、日本語と英語の学習環境や方法に潜む違いがあります。
まず、日本語の場合、私たちは日常生活を通じて自然に言葉を習得しています。
幼少期から周囲の大人が話す言葉を聞き、文脈を通じて意味を理解し、少しずつ使いこなせるようになります。
学校教育でも、文法や漢字の学習はありますが、日常生活と深く結びついているため、実践の場が豊富です。
一方で、英語は多くの人にとって「外国語」であり、日常生活で使用する機会が限られています。
教科書や授業に頼る学習環境では、言語が「使うもの」ではなく「覚えるもの」として捉えられがちです。
さらに、日本語の習得と英語学習の間には心理的な壁も存在します。
母語である日本語を学ぶ際には、間違えることを恐れず試行錯誤を繰り返しますが、英語となると「正しい発音」「文法ミス」などを気にしすぎるあまり、積極的に使うことが難しくなる人が多いと言われています。
この「間違いへの恐れ」が学びの意欲を削ぎ、結果として習得が遅れる原因になっています。
また、言語構造の違いも影響しています。
日本語は主語を省略したり、語順が柔軟だったりしますが、英語は基本的に主語・動詞・目的語という順序が厳格です。
この違いが英語を「難しい」と感じさせる一因です。
さらに、英語の発音やリズム、アクセントは日本語とは大きく異なり、リスニングやスピーキングでの苦手意識を生むことがあります。
とはいえ、英語を覚えられない理由を「才能」や「環境」に帰するだけではなく、方法を変えることで成果を上げることは可能です。
例えば、日常生活の中で英語を使う場面を意識的に増やす、身近な興味のあるトピックで学ぶ、間違いを恐れず積極的に話す、などの工夫が挙げられます。
語学は反復練習と実践を通じてこそ身につくもの。
難しい日本語を覚えた経験を生かし、同じように英語にも向き合えば、新たな言語も習得できるのではないでしょうか。