当協会では、従業員の資格取得や学びなどを積極的に取り組む企業を「キャリアアップ経営企業」として認定を行なっています。2月22日に第1回キャリアアップ経営認定企業として、松川村の(株)草深製作所様、池田町の赤田工業(株)様に訪問し、認定式を行いました。
認定証を交付するにあたり、大糸タイムス、市民タイムス、MGプレスの各新聞社の取材もあり、両企業様の社員の資格取得について取り組み方法をお聞きしました。
業務を行ないながらの資格取得は、企業として全面的な取り組みが有ると無いとでは、取得率が全く異なります。
(株)草深製作所様では資格取得に関する規程を作り、努力が給与に反映する仕組みを掲げることで、社員のモチベーションをあげ、受験料の助成、試験日の交通費支給・有休扱いにするなど取り組まれていました。社員が知識や技術を深めることは、自社製品の価値が上がることであり、製品の価値が上がることは、企業として信用度が増すことです。
赤田工業(株)様では、技能士資格には実技試験があるため、試験に必要な材料・場所の提供を企業が行い、何よりも、社長自らが社員の士気を鼓舞し、外国人技能実習生に対しては、空いてる時間で技術などを教え、全員の資格取得を目指した取り組みを行なっていました。
社長や経営陣が社員と対話し、国の方針に沿いながら「働きやすい環境を作っていく」。
これらは容易いことではありません。経営を圧迫してしまえば元も子もなく、費用面で「取り組めない」企業も多いかと思います。また、経営陣の考え方として、人材育成は企業を存続するうえで「重要なこと」であるのに、企業全体での取り組みは行なわず、現場の社員任せにする企業もあるのが現実です。
社員のモチベーションを上げることは、企業として離職率を下げ企業力が上がります。
雇われる身としては「より働きやすい環境」を求めるうえ、考え方・働き方も多様化し、前向きな転職活動をする人も増えていますが、様々な原因から後ろ向きな離職も後を絶ちません。長野県のような地方では首都圏に比べて圧倒的に人材が不足しています。離職による人材の喪失は企業として、技術力の損失、知識の損失です。
自分たちの経営や地域貢献の役割を見ながら、自分たちにあった従業員の「人材育成」が求められており、少子高齢化により働き手が減っていく中で、長く存続できる企業になるには、経営陣自らが時流の変化に敏感になり、体面だけの取り組みではなく、大きく舵を取っていく必要があります。
AI技術が発達し、これからの働き方に関わっていくことは目に見えていますが、どのような時代になるのかは、未知数です。未知の技術による時代の変化に対応するためにも、様々な知識を得る学びは必要です。
「一生勉強だ」と笑いながらも、確固たる意志で「いつまでも学び続けることが重要」だとおっしゃった草深会長に感銘をうけた認定式となりました。
寄稿:理事 赤羽根泉