能力開発基本調査(事業所調査編) 2020.7.11

前回のコラムで、能力開発基本調査「企業調査」について書きました。

今回のコラムでは、「事業所調査」について書きます。

 

1)教育訓練の実施に関する事項について

・正社員に対してOFF-JTを実施した事業所は、75.1%

・正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所は、39.5%

・実施したOFF-JTの研修の主なものとして、

①新規採用者など初人層を対象とする研修 75.1%

②新たに中堅社員となった者を対象とする研修 48.0%

③マネジメント研修 47.0%

主なOFF-JTは、立場が変わるタイミングでの実施か多いということが分かります。

スキルアップのためのOFF-JTは少ないということです。

 

2)人材育成について

・能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は、76.5%

・「問題がある」事業所の問題点として主なものは、

①指導する人材が不足している 58.1%

②人材を育成しても辞めてしまう 53.7%

③人材育成を行う時間がない 49.7%

スキルアップの必要性は感じてはいるものの、現実には難しいことがこの調査から分かります。

 

3)労働者のキャリア形成支援について

・キャリアコンサルティングを行うしくみの導入している事業所は、39.8%

・キャリアコンサルティングを行う目的の主なものは、

①労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため。

②労働者の自己啓発を促すため。

③労働者の希望等を踏まえ、人材管理制度を的確に運用するため。

・キャリアコンサルティングを行う上での問題点では、正社員、正社員以外ともに

「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が最も多くなっています。

キャリアコンサルタントの勉強をしている私としては非常に残念な調査結果です。

「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」となってはいますが、私が思うには、事業所としてもキャリア形成やキャリアコンサルティングに関する知識が不足しており、事業所としてもそれを従業員へ伝えていないため、このような調査結果が出ているのではないかと考えます。

 

4)労働者の職業能力評価について

・正社員に対して職業能力評価を行っている事業所は正社員で54.4%、正社員以外で36.2%

・職業能力評価における検定・資格を利用している事業所は、53.5%

・利用している検定、資格は、「国家検定、資格(技能検定を除く)又は公的資格、検定」75.8%

・職業能力評価に係る取組みに問題を感じている事業所のうち、「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」が70.9%

職業能力評価は普通に行われいそうですが、意外に低い結果となっています。

また、同じ事業所でも色々な仕事があり、それを分かりやすく評価するには、検定や資格といった合否で判断できるものが取り入れやすいということも分かります。

 

以上の結果から、従業員のキャリア形成に関しては、まだまだ進んでいないように感じます。

自身のスキルアップは、今後のキャリアへも影響するのですが、スキルアップの取組みもまだまだであり、それがキャリア形成に結びついてもいません。

キャリア形成には、それなりの時間やお金、人材が必要となります。

当協会としても、スキルアップやキャリア形成に取り組む企業を支援できればと考えています。