キャリアカウンセリングの理論家としてとても有名な「ドナルド・E・スーパー」の理論のなかに、
「ライフ・キャリア・レインボー」
というものがあります。
ライフ・キャリア・レインボーとは、人生のある年齢や場面の様々な役割の組み合わせであると定義し、この概念をレインボー(虹)に例えて説明しています。
下記写真のように、人生における役割は様々な場面、つまり家庭、学校、職場、地域社会などで演じられるものであるとしました。
個人はこの役割をいかようにも組み合わせることができるとしています。
代表的な役割として、次のような役割があります。
①息子・娘 … 生涯を通じて親に注ぐ時間と労力です。この役割は、この世に生まれたときにはじまり、両親がいずれも亡くなる時まで続きます。
②学生 … 小学校に入学したときにはじまり、義務教育の修了、高校や大学を卒業するまで続きます。また、社会人になってからも学ぶことはこの役割です。
③余暇を楽しむ人 … 読書やテレビを観たり、スポーツをしたり、趣味に没頭するなどがこれにあたります。
④市民 … 市民の役割とは、無給のボランティア活動に時間やエネルギーを費やす役割です。地区の役員などがこれにあたります。
⑤職業人 … 正社員、アルバイト、パートなど、有給で働いている人たちを言います。
⑥ホームメーカー … 料理や買い物、家具選び、家屋の修繕、DIYなどをする役割です。両親の家を離れ、住居を構えたときにはじまると言われます。
ライフ・キャリア・レインボーに示した様々な役割は、重なり合ったり、相互に影響し合ったりします。
ほとんどの人が多くの場面で複数の役割を同時に行っているのです。
私の場合は、①から⑥を全て演じています。
このように、人生やキャリアとは、
「人生における役割をいくつか選んで組み合わせることで、自己概念を実現しようとする試みである」
ととらえることができます。
そこで選ぶ役割は、必要な時間やエネルギーがそれぞれ異なります。こうした人生の役割が全て合わさって「人生空間」を満たしているのです。
この様々な役割を果たすことで、本人が満足できる場合には、そのキャリアは「成功している」と言えます。
逆に満足感をもたらしてくれない場合は、「役割を付け加える」「減らす」「役割を変える」といったことが必要になるときもあります。
この理論に当てはめると、人はいくつかの役割を演じながら生きていると言えます。
これはキャリア形成には必要なことです。
「演じている」という言い方は、少し大げさかもしれませんが、毎日何かの役割をしているわけです。
普段の生活をしていると、この役割からは逃れることはできません。生きていく上では仕方がないことですが、それが時にはストレスになったりもします。
そんなときは、何か一つの役割に没頭することが良いかもしれません。
特に「余暇を楽しむ人」として、好きなことに取り組むことが良いと思います。
私事ですが、キャリコンサルタント養成講座を受講し、「学生」になったわけですが、これが意外にストレス発散の場になりました。
なぜなら、私の家庭も仕事も性格も、最初は名前すら知らない人たちと一緒に学べたからです。
普段の役割では、決まったコミュニティーの中で生活することが多く、「私自身」を良く知っている人が多いです。
しかし、キャリコンサルタント養成講座の参加者は誰一人お互いのことを知らないのですから、普段と違った自分を出すことができます。
それが自分に取っては新たな自分の役割となり(キャリコンサルタントを学ぶ人)、同じ目標を持つ仲間たちと良い関係を築くことで、普段とは違った生活を送ることができました。
これはあくまで私個人の感想ですが、一つの役割に没頭したり、新たな役割を行うことで、普段とは違った生活が送れるかもしれません。
一度、「自分の役割」を意識してみてはいかがでしょうか。
何か新しい発見があるかもしれません。
日本マンパワー「キャリコンサルタント養成講座」テキストより